活かされた粘り強い守備
日本にとって左サイドを突かれれば、相棒の青山が引っ張り出される分、山口がバイタルエリアをケアする必要があるのだが、サイドでボールを取り切る場面がほとんど無く、中央に危険なパスを出される、あるいかカットインで仕掛けられたところを山口が粘り強くカバーした。
逆に右サイドを狙われた場面では徹底してボールホルダーの中を切り、バイタルエリアにパスやドリブルをさせない守備を徹底した。大会を通じて、組織の中で持ち味を発揮できなかったが、個がさらされる場面で彼が持つ粘り強さが、むしろ強調されたのだ。
中国戦と韓国戦でフル出場し、2試合目の豪州戦も厳しい時間帯に投入された山口のパフォーマンスがMVPに値したのは、日本の戦いをトータルで振り返れば当然と言えるかもしれない。ザッケローニ監督の山口に対する評価も高まったはずだが、日本代表のポジション争いに割って入るためには、Jリーグで彼の特徴をさらにアピールしていかなければならない。
「この大会は優勝を目標に入ったので、自分のアピールというのはあまり考えていなかった。でも次に選ばれれば、もっと特徴を出していく必要がある。そのためにも、チーム(セレッソ大阪)でよりたくさんやっていきたい」
ブラジルW杯に向けた本当の戦いはここからなのだ。
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