絶妙だった青山との連携
「ボールを取りに行く、プレスをかけるっていうのが自分の持ち味ではあるんですけど、日本代表ではチーム戦術として相手の自由を奪うことが最終戦になっている。チームコンセプトがあるから、1人で行くわけにもいかないし、行きたいところで行けばいいわけでもない。そういう意味で難しさはありました」と山口は神妙な面持ちで言う。
細かい約束事の多いザッケローニ監督の戦術を守りながらプレーしようと意識するあまり、持ち前の思い切りのよさや大胆な判断が出しきれなかったのかもしれない。そのジレンマが不完全燃焼感につながっていると見られる。
そうは言っても、この短期間で周囲との連携は確実に取っていた。とりわけ、中国戦と韓国戦でボランチを組んだ青山敏弘とは、今回が初めてのプレー機会とは思えないほど絶妙のバランスを披露した。
「アオ君がボールを持って前に行く分、僕は後ろのカバーをしっかりするという役割がハッキリしていてよかった。コミュニケーションをうまく取りながらやれた」と本人も満足そうに言う。
青山が中国戦と韓国戦で相手の背後を突く切れ味鋭いタテパスを柿谷へ送り、決定的チャンスを演出できたのも、山口が献身的に空いたスペースを埋めるなど掃除役に回って守備負担を減らしたからだ。彼らボランチコンビが今大会優勝の原動力になったのは間違いない。
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