評価の高い齋藤と工藤
齋藤学【写真：松岡健三郎】
それでも「自分が持った時に勢いよく。もっと仕掛けた方がいい」と語る齋藤は見た目に似合わず、良い意味でエゴイスティックなメンタリティの持ち主でもある。守備面やワイドで起点になるなど、ウィングとしての戦術的な動きは課題になるが、この段階で持ち味を出すことに意識を向けている点はプラスのポイントだろう。
「人一倍、思い入れがある」と齋藤自身も意気込む韓国戦でも、出場チャンスがあれば得意のドリブルと独特な動き出しで、ワイドからどんどんバイタルエリアに絡んで屈強な韓国DFを翻弄したい。そこで豪州戦に続く得点を決められれば、最高のアピールになるはず。直接的なライバルは乾貴士、そして復調してきた宮市亮か。
中国戦で先発、豪州戦でも途中出場した工藤は、ワイドから鋭い飛び出しで得点を狙う役割は齋藤と共通するが、ペナルティエリアの中でダイレクトのフィニッシュを狙える点は強みだ。実際に中国戦ではヘッドで栗原の得点をアシストし、柿谷のアシストから冷静に流し込んで代表初ゴールを決めた。
加えて豪州戦で3点目の起点になった様に、ワイドからのクロスやパスは柏でも磨いているもう１つの武器だ。「流動的というよりは、決まり事が多い。右は右で形を作って、それに対して左の選手がどう絡むかを重点的に言われているので、そこは意識してやっていきたい」と工藤。スタートのポジショニングに関しては、試合中も一度ワイドに張る様に、執拗に指示されていたが、経験の少ない中では戦術的な習熟度も高い。
今大会のウィングでは最も守備の貢献が高いことも、ザッケローニ監督の評価ポイントになっているはず。ただ、代表定着を目指す上では岡崎に追い付き、追い越す勢いでアピールしていく必要がある。韓国戦では右ウィングの役割をこなしながら、ペナルティエリア内では泥臭く得点を狙っていきたいところだ。
