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日本代表 11年前

2試合で5失点の東アジア杯でのザックジャパン。起用された4人のCB、それぞれの課題は?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo

柔軟な戦術対応を見せた鈴木

 一方の鈴木は、相手にディフェンスラインを破られかけた状況でも粘り強く防ぎ、時に相手の縦パスを受け手の手前でインターセプトするなど、状況判断の良さと身体能力を活かした守備で持ち味をアピールした。

 興味深かったのが、森脇が攻め上がった後に相手のカウンターを受けた時の対応だ。鈴木は素早く右ワイドにスライドして相手の出所を消し、その間に森脇がセンターバックのポジションに下がって豪州の攻め手を封じたのだ。

「柏で右サイドもやらせてもらっているので、サイドに入った時の対応は分かっているつもりです」と鈴木。こうした柔軟な戦術対応は目立たないが、ザッケローニ監督の評価ポイントになっているはずだ。

 攻撃面はつなぎのパスこそ千葉ほどスムーズではなく、相手アタッカーに詰められると危ない場面もあったが、ワイドの展開や前線の豊田、大迫を狙った高速のロングパスは効果的で、豊田のポストから大迫の得点を生んだ2点目は特筆に値する。

 ただ、クロスやセットプレーの空中戦ではしばしば相手のマークが甘くなり、味方が競った周囲でクリアできない場面もあった。また失点場面でも見られた様に、ロングボールやそのセカンドボールから、手前のエリアに相手選手が走り込んでくると守備陣の混乱に巻き込まれ、一瞬フリーズしてしまうことは課題だ。

 本来、リーダーシップの強い選手だけに、実戦の経験をもとに選手間で話し合っていけば、多くは改善されるだろう。しかし、若く伸びしろの大きい鈴木にしても、本大会までの残り期間を考えれば時間もチャンスも限られる。

「自分の中で持ち味は出せたと思いますけど、その中で3-0だったらもっと印象は良かった。勝ちましたけど守備としては失点して終わるのは心残りで、最高のアピールはできなかった」(鈴木)

ここまでのパフォーマンスから、韓国戦では誰がチャンスをもらい、さらに代表定着をアピールするのか。泣いても笑っても今大会の最後となる試合だけに、持ち味をしっかり発揮しながら、無失点で締めくくり、この先につなげてほしい。

【了】

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