クロッサーとのイメージをどう共有するか
競り合いという武器を生かすためにも、豊田はチームメートからうまくボールを引き出すことが肝要だ。練習でもクロスを上げてくれる選手たちとの意思疎通を大切にしているという。
「僕の大きな仕事はクロスをしっかり合わせるってところなんで、クロスを上げてくれる選手のことは興味深く見ているし、イメージもするようにしています。駒野さんはいろんなキックを持っていますし、槙野(智章)なんかは上がってきて左で上げることが多い。イメージしているパターンにどう当てはめて成功率を上げるかが重要だと思います。
鳥栖にいる時と違って多少、クロスが合わなかったりと難しい部分もありますけど、短期間でホントに自分がほしいところにどれだけ呼び込むことができるかっていうのも1つのカギ。しっかりコミュニケーションを取ることも大事ですし、練習中にも『自分がここでほしい』ってことをもっともっとアピールする必要があるかなと思います。
でも代表の選手はチームよりボールの質が高いし、練習中のセットプレーでも何本か合わせられた。やっぱりみんなレベルが高いなと感じますね」
北京五輪代表だった選手が攻撃陣に少ないだけに、連携面では豊田にとって厳しいところもあるだろう。が、このメンバーの中で最大限の能力を出さなければ、本田圭佑や香川真司らザックジャパンの軸をなすメンバーと再びプレーするチャンスは得られない。
北京五輪から5年が経過し、かつての仲間たちは世界に羽ばたいている。そんな彼らとの距離を埋めるためにも、今大会でどうしても結果がほしいところだ。
「本田たちとはもちろんやってみたい気持ちはありますけど、まだ先のこと過ぎてね。今ここで目いっぱい必死にやって、その次にあるところだと思う。せっかく呼ばれたんで、この大会で悔いが残らないようにしたい。今は自然と気持ちが高ぶっているし、出番が来たらしっかり国を背負ってやらなきゃいけないですね」
果たして豊田はザックジャパンの1トップを担ってきた前田遼一やハーフナー・マイクに挑戦状を叩きつけられるのか……。彼のパフォーマンスを慎重に見守りたい。
【了】