監督は「ラインを上げろ」と言うが…
ザックジャパンで何度も目にしてきた光景が、またしても繰り返された。長いボールを放り込まれて、DFラインが低くなり跳ね返しきれずに失点する。東アジアカップの初戦、中国戦は3-1とリードしながらも終盤の時間帯に2点を失って3-3で引き分けるという結果になった。
DFラインが引いて守ったときに失点するのは、ザッケローニ監督のチームにとって最大の課題と言っていい。日本の守備陣は世界レベルの相手と比べたときに空中戦の強さでは見劣りする。南アフリカワールドカップのレギュラーだった中澤佑二と田中マルクス闘莉王はワールドクラスの高さを持つが、彼らはザッケローニ監督になってからは招集されていない。
レギュラー組が招集されなかった今回の東アジアカップでも、ザッケローニ監督は戦術練習で「DFラインを上げろ」と要求したという。しかし、実際には中国戦では後半になるにつれてDFラインは下がってしまっていた。押し上げられないDFラインを歯がゆい気持ちで見ていたファンも多いだろう。
しかし、DFラインが下がってしまうのは守備陣だけの責任ではない。途中出場した高橋秀人は言う。
「守備陣からすれば前線から限定をかけてくれないとラインを上げられないというのはあると思う」
高橋の言葉通り、DFラインを押し上げるには「ボールを持った選手にプレッシャーがかかっていること」が条件になる。ボールを持った選手がフリーでどこにでもパスを狙える状態であれば、DFラインを上げようとした裏をとられやすくなるので、押し上げることはできない。