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中国サッカーに未来はあるか?(その4)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

クラブはあくまでもオーナーの所有物

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広州恒大のホームスタジアムである天河体育中心体育場【写真:宇都宮徹壱】

 前述のとおり、富力は昨シーズンまで2部のチームだった。しかも、このクラブが広州にやって来たのは、実はつい最近の話である。

 もともとは広州からはるか遠い瀋陽のクラブだったのが、長沙、深せんとスポンサーが変わるたびに本拠地を変え、昨年に不動産企業、広州富力地産が買い取って広州第2のクラブとなった。とはいえ、移転から間もなく、しかも2部から昇格したばかり。そんな富力が、シーズン序盤からスタンドの一角を埋め尽くすだけのサポーターを確保しているのは、どう考えても不自然であろう。

 お隣の恒大は、にわかサポーターをカネで集めて、ACLのアウェー戦に向かわせているという(もちろん、航空代もホテル代もクラブ持ちだ)。富力が、サポーター席に動員をかけているかどうか、残念ながら確認することはできなかった。ただし、スタジアムに向かう道すがら、私は尋常ではない数の素人ダフ屋を目撃している。クラブ側が大量にタダ券をばら撒いている可能性は十分に考えられよう。

 青いジャージの富力と、赤いジャージの恒大は、いずれも広州での歴史が浅いため、首位争いをしていながら、まだダービー関係は希薄である。いずれ健全なダービー文化がこの地に生まれれば、きっと中国サッカーのさらなる発展に寄与することだろう。とはいえ、富力と恒大、いずれかのクラブが、新たなオーナーに買われてこの地を離れる可能性も、決してゼロではない。

 中国超級のスタジアムは、確かに盛り上がっているものの、さりとてサポーター文化やクラブ文化が浸透しているとは、およそ言い難い。クラブはあくまでもオーナーの所有物。それがこの国の不文律なのである。

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