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連載コラム 11年前

W杯前に知るべきブラジル・フッチボール。サッカー大国ブラジルに大きな影響を与える、欧州サッカーの隆盛

状況が変わってきているブラジルのサッカーシーン

 ジーコと共にクワトロ・オーメン・ジ・オウロ――黄金のカルテットの一員だったソクラテスはブラジルサッカーの強さについてぼくにこう語ったことがある。

「ブラジルのサッカーはストリートから生まれる。そして良質なサッカーを観ることで才能が磨かれる。ブラジル代表に選ばれるような選手でなくとも、サンパウロやリオの有名クラブの選手でなくとも、ブラジルの地方の小さなクラブにも優れた才能ある選手がいる。そうした選手のプレーを間近に観ることで、ブラジルの選手たちは上手くなっていくのさ」

 ブラジルの下部リーグを見ていると、どうしてこんな選手がここでプレーしてのだと驚かされることがある

 調べてみると、そうした選手は私生活で問題を抱えていたりもする。運や巡り合わせもあるだろう。世界に知られていないだけで、ブラジルにはまだまだ才能が埋もれている。だから、ブラジル人が自国リーグ、クラブに自信を持ち、愛情を注ぐのも理解できる。

 ただ、そんなブラジルも状況は変わっている。

 80年代に三浦知良がサントスと契約した頃は、ブラジル国内リーグの最後の良き時代だった。当時のサントスは、コリンチャンスから移籍してきたばかりドゥンガを始め、ほとんどのレギュラー選手にブラジル代表経験があった。今のように親善試合が濫造され、“ブラジル代表歴”が乱発される前のことで、セレソンには重みがあった。

 この同時期に、ジーコ、ファルカン、ソクラテスと言ったブラジル代表選手が欧州のクラブに移籍するようになった。90年代からサッカーの中心は完全に欧州大陸の幾つかのリーグとなり、欧州チャンピオンズリーグの商業的成功によりその流れは加速した。

 ブラジルの地方クラブにもその影響は及んでいる。

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