柿谷に期待される“フィニッシャー”としての力
柿谷がワントップに入った場合に起こる変化としては主に2つ考えられる。
【1】2列目の選手とポジションチェンジをしながら、流動的にパスを回しながら崩して行くコンビネーションが増える。
【2】カウンター時に前線に飛び出して、手数をかけずに1人でゴールに持ち込む回数が増える。
特に重要なのは【2】のほうである。ワールドカップで強豪国と戦うことを考えたとき、日本代表は相手にボールを持たれて耐える時間帯が長くなる確率が高い。このような状況では、しっかりとブロックを固めながら、ボールを奪って素早くゴールに向かって行くカウンターができるかが重要になる。
しかし、現状のザックジャパンではカウンターに適した人材が少ない。特にワントップ候補の前田やハーフナー・マイクはそれぞれにハードワークや高さと言った特徴はあるが、1人でフィニッシュに持って行くタイプではない。
そこで、柿谷である。今シーズンのJリーグでも見せているように柿谷はDFラインの間でボールを受けてファーストタッチで抜け出してGKとの1対1に持ち込んだり、カウンター時に数人のDFを引き連れながらドリブルでかわしてゴールに流し込んだりといったプレーを見せている。
柿谷が見せた「個の力」は、3戦全敗に終わったコンフェデレーションズカップで日本の選手たちが最大の課題として挙げていたものでもある。
コンフェデのメインテーマは「新戦力の発掘」である。これまで代表に呼ばれていなかった選手にとっては大きなチャンスとなる。ただし、ザッケローニ監督は「実力が同じなら今まで呼ばれていた選手にアドバンテージがある」と公言している。柿谷はアドバンテージを覆すほどのものを見せられるか。まずは、第1戦の中国戦に注目が集まる。
【了】