山本真希が中盤のバランスを最適化させている
「イナさん(稲本潤一)とマサキ(山本真希)がいるから、自分はボランチではなくてもいいと思ってプレーできている。特にマサキがいろんな場所に顔を出せることで、みんなの負担が減っている。例えば、今までは10のうちの8をやらないといけないところを、マサキがいることで5になっている。味方をサポートしたり、守備で頑張ってくれたり、マサキが全部を下支えてくれている。だから、みんな余計なことをしなくていいし、イナさんだってあれだけ自由に動けるんだと思う」
山本真希は、今年コンサドーレ札幌から移籍してきた若手のボランチである。清水ユースで育ち、17歳でトップデビューを果たすなど、同世代の代表選手の中でも高い評価を受けていた才能あふれる選手だ。足元の技術に冴えを見せるが、それでいて豊富な運動量による機動力も彼の武器だ。
なにより、天才肌の選手が嫌いがちな、味方の為に泥臭い仕事も厭わずにできるハードワーカーなのがいい。シーズン当初はベンチメンバーだったが、第4節甲府戦で初先発するとレギュラーとして定着し中盤に欠かせない存在となった。
前節大宮戦の後半、山本らしい献身的な一面があった。1-2でリードされている状況下で、ゴールラインを割りそうなボールが転がった。大宮のCB高橋祥平はゴールキックにしようと近寄ったが、そこに山本が猛然とダッシュしていき、うまく身体を入れて競り合い、最終的にはゴールラインではなくタッチラインに蹴り出したのだ。
敵陣の深い位置でスローインにさせたことで、そのロングボールを、高い位置にいた中村憲剛がボール奪取に成功。絶妙な縦パスで大久保嘉人の同点弾となる流れが生まれたのである。
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