「世界一」の肩書きを引っさげての移籍
去る7月8日、大儀見優希のチェルシー・レディース移籍が発表された。男女を通じ、日本人として初めて、お馴染みの青いユニフォーム姿でピッチに立つことになる。2年前に8クラブ構成で始まった、『スーパーリーグ』でも日本人第1号だ。
どの世界でも、先駆者となるには実力と勇気が必要。ポツダムでの大儀見は、チームとしてCL優勝、個人でもブンデスリーガ得点王に輝き、ドイツでやるべきことはやったとの思いで、自身2度目の海外移籍を決意したのだろう。
チェルシーが、「W杯王者加入」と公式サイト上で告げたように、「世界一」の肩書きを引っさげての移籍だ。女子サッカー界での「格」は、大儀見がクラブのそれを上回ると言える。チェルシーには、トップレベルでの優勝歴がない。スーパーリーグでの2シーズンは、いずれも4位。7試合を消化している今季も、やはり4位で、欧州選手権による中断期を迎えている。
国内の強豪と言えば、前身に当たる女子の『プレミアリーグ』時代から通算9連覇中のアーセナルのこと。例年の対抗馬は、バーミンガムやエバートン。男子の世界では下部リーグに根を張っているドンカスターも、女子の世界ではチェルシーよりも名が通っている。
だが、大儀見自身が「正しい決断」と移籍コメントを出しているように、新たな挑戦の拠点として、「右肩上がり」のクラブは悪くない。チェルシーが、補強に本腰を入れ始めたのは5年前。アーセナルから主力2名を引き抜き、トップリーグでの上位定着を目指し始めた。当初は2010年予定だったスーパーリーグ創設を睨んでいたとも思われる。