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日本代表 11年前

東アジア杯で結果と内容の両立を目指すなでしこジャパン。澤抜きでどう戦うのか?

text by 馬見新拓郎 photo by Kenzaburo Matsuoka

これまでのスタイルに加えようとしているもの

 しかし結果と同時に、内容も手にしなくてはならない。翌年に女子W杯(カナダ)への予選を兼ねた女子アジア杯(ベトナム)を控えていることもあり、佐々木監督は質のさらなる向上を求める。

「アジアの大会ではクレバーさも必要になってくる。縦に速いサッカーを追求しながら、ハイプレッシャーの中で、ためや厚みを持たせたサッカーもできればいい。この大会が最終的には来年につながっていければ、と思う」

 なでしこは今年、CBから1本のパスで最前線につなぎ、そこから直接シュートまで持ち込む、もしくは最前線に入ったボールを少ないパス数でシュートまで運ぶ、新たな戦い方を模索している。

 これはドイツ女子リーグ1部で、得点王に輝いたFW大儀見優季(チェルシー/イングランド)という、日本の武器を最大限に活用しようとする意図が見える。

 ボールを受ける前に相手に自分の体を預けて、その反動を次の動作に活かし、非常に高い確率でボールをキープできる大儀見がいて、そこに精度の高いパスを出せるCBのDF岩清水梓(日テレ・ベレーザ)、DF熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)がいる今のなでしこにとって、これは理に適った戦法だと言える。

 2011年の女子W杯や2012年のロンドン五輪でなでしこが世界中に示した、守備も攻撃も連動するサッカーは現在、日本以外の強豪列国も会得しようとしている最中だ。なでしこは、そこに新たなエッセンスを加えることで、さらなる高みを目指そうとしている。

 揺るぎない地位を確立するための大会3連覇と、来年につながるいい内容。何事もそううまく事は運ばないものだというのが世の常でもあるが、初めて国際タイトルを獲得した相性のよい東アジア杯で、なでしこジャパンがまた新たな進化の形を目指す。

【了】

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