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アジア 11年前

中国サッカーに未来はあるか?(その2)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

今後、中国サッカーが重要視することとは?

 さて、このインタビューの後、緑城は2連敗して最下位に沈んだ(2012年4月22日時点)。だが岡田のミッションは、単に降格を阻止することでだけはない。

 多くのクラブが国外のタレントに依存する中、優れたユースチームを鍛え上げ、育成によって結果を残す。その上で、中国サッカー界に「育成の重要性」に目を向けさせれば、それは巡り巡って日本サッカーにも好影響を与える──というのが岡田の考えである。

中国サッカーに未来はあるか?
「戦」の文字をあしらったフラッグを掲げ応援する杭州緑城のサポーター【写真:宇都宮徹壱】

「日本代表のAマッチの6~7割がアジアの予選なんです。そこで強いチームと試合をしないと、日本も強くならない。いくら『アジアで一番』と言っていても、ヨーロッパや南米にはいつまで経っても追いつけないし、いつかは頭打ちの時代がくる。そこはアジア同士が切磋琢磨していかないと」

 そのためには、アジアで最大の人口と影響力を持つ中国に、もっと強くなってもらう必要がある。無論、それなりに時間のかかる話であることは言うまでもない。岡田自身、中国のポテンシャルは認めながらも、それが十全に機能するには、まだまだ課題が山積していることを指摘している。

「選手個々の才能という意味では、(中国のポテンシャルは)日本と同じくらいか、上かもしれないという感じはあります。ただ、こっちはまだ、選手もプロになりきっていない状況なので、オーガナイズする協会やクラブのフロント、体制がしっかりすることが条件ですね。トップチームだけを強くするのではなく、グラスルーツをどう広げていくかとか、ピラミッドをどう構築していくかとか、そういうオーガナイズするところが、本当にきちんとプロになっていかないとね。それにはまだまだ、時間がかかると思います」

(文中敬称略)

 【その3に続く】

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