リバイバルを起こした3バック
オーソドックスな4バックをベースとしてバランス重視で闘い、必要なときに3バック
で後方の枚数とサイドの推進力を確保する。そんなチームが確実に増えそうだ。その一方で3バックを基本とするナポリなども、点が欲しい時に4バック(ウイングバックを最終ラインに下げた2バック)で戦っている。究極的にこのブームは、戦術の柔軟な使い分けというところに行き着くのかもしれない。
イタリアでリバイバルを起こした3バックは、戦力が限られた中で攻撃力を高め、同時にバランスを取るにはどうするかに知恵を絞った、イタリアの指導者たちの創意と工夫の業だ。それを機能させるには戦術の繊細なメカニズムが必要となり、結果的に組織力はアップする。他国勢とは資金力で見劣りし、ビッグクラブでさえも『選手を育てて勝つ』という路線を取らざるを得ない中、首位を走るユベントスとナポリがともに3バックを敷き、CLやELで好成績をあげていることは決して偶然ではない。「カルチョとは継続した革新である。3バックもかつてのようなものではない。もっとも究極的には、守備や攻撃の際にどのくらい人数を掛けたいか、どんな選手がいるか、そしてどういう試合運びにするかで戦術は決まる」とガスペリーニ監督は語る。
システムには流行り廃りがある。だが戦術は、より精密な方向へと進化する。それだけは確実に予見出来そうだ。
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初出:欧州サッカー批評7