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セリエA 11年前

なぜイタリアで3バックが流行したのか? 超進化型システムのメカニズムに迫る(後編)

text by 神尾光臣

3バックを維持するためには?

 これには3バックを統率出来るリーダーの不在と、アウトサイドの人材不足が影響している。ガスペリーニは、スムーズな組み立てが出来ないことからボランチのドナーティをCBの中央にコンバートした。イタリア代表スペイン戦でのデ・ロッシよろしく、ビルドアップの点では上手くいったが、どうしても守備力では限界を露呈してしまう。またアウトサイドは、右のモルガネッラはともかく、左には90分間攻守のスタミナを保証出来る者がいなかった。現に彼らはこの冬、このポジションを重点的に補強している。

 そして実はインテルも、3バックの消化に悩んでいるチームの一つだ。

 開幕から彼らは、カウンターへの脆さを突かれて失点することが多かった。「前掛かりになるために、後方の枚数が足りずにビルドアップが出来ず、そこを突かれるというのが我われの弱点だ」と見抜いたストラマッチョーニ監督は、第4節シエナ戦での敗戦(0-2)をきっかけに、CBの枚数を増やすことに決めたのだ。これは当初、確かに奏効した。後方のビルドアップが安定し、またCB同士の負担も軽減。長友の存在感がインテルで劇的に高まった理由も、左ウイングバックでの起用にあった。組織の安定を掴んだ彼らは7連勝し、そしてユーベ戦では大胆に3-4-3を敷いて勝利した。

 ただ、そこからはなかなか調子が上がらない。故障者が多いことも影響しているが、3バックとしてのバランスが整っていないのだ。特にしわ寄せが来るのは中盤。FWもあまり守備に入るわけではなく、カウンターを喰らった時には中盤でフィルターが掛からない。そして中央を破られ失点、というパターンが相変わらず続いている。ナポリやユーベのように、組織全体として緻密なカバーリングとプレスの意識がなければ、3バックの維持は難しいのだ。

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