上手かったメキシコのブロックプレー
メキシコに先制された日本。このあと後半21分にもメキシコに追加点を奪われると日本はいよいよ厳しい状況に追い込まれた。
――このコーナーキックからの失点はニアで触られてやられました。
「ニアで触られてしまうと確率の問題だけど、こういうことは起こりうる。フォアサイドでは内田(6)がゴールを決めたエルナンデス(14)を見ているけど、瞬間的にマークを離されている」
映像を巻き戻し、まずニアサイドでの対応を確認する。
「ニアの対応は遠藤(7)ですね。これもマークを離されてしまっている。これはサインプレーのうちのブロックプレー。コーナーキックのボールにニアで合わせた選手(ミエル(21))は中央からニアサイドに向かって走り込んでいる。
このときに遠藤は、その選手(ミエル)を捕まえにいっているんだけど、そのコース上にいる相手選手にブロックされているんですよ。マンツーマンの対応だと相手にこういうことをやられてしまう」
――それでニアサイドの対応で後手を踏んだ。よくバスケットボールであるプレーですね。
「まさしくそう。バスケットで使うブロックプレー。僕らもマンツーマンのチームにはよく使います。昔からあるパターンですけどね。で、メキシコは、ニアで触ってコースを変えたボールに対して、フォアサイドで待っているエルナンデスが瞬間的に下がって前に出てくる。
この場面、もしエルナンデスに対応していた内田(6)にボールがいっていれば内田が触っていたとも言えるけど、ただ、態勢としてはエルナンデスのほうがいい。ボールも敵も見えている状態で、しっかりゴールを狙える態勢がとれている」
――これ、マンツーマンの対応の場合、試合中に相手が仕掛けてくるパターンはいくつもあるわけですよね。だから相手がやってくることに対して瞬時に対応するのだと思いますが、この場面でいえば内田ががんばるしかないんですか。
「そうです。それか遠藤の対応も、こういう相手のブロックプレーに対して考えないといけないでしょうね。ただ、遠藤の対応は少し淡泊かなあと感じます。元々ガツガツ対応するタイプの選手ではありませんが。
マンツーマンだと色んなことに対応しなきゃいけないんです。それこそ相手のやり方次第なので対応も無限にある。その反面ゾーンは対応しなきゃいけない数は少ない。相手次第で動かされるわけではないから、だから僕はゾーンのほうが守りやすいんじゃないかなと思っているんです」