エルナンデスを見ていた栗原だが…
そして、酒井の体の右側ギリギリを通過したクロスが、中央に走り込んできたエルナンデス(14)にドンピシャで合う。
「クロスを入れられたところも泣きどころではあるんです。それに(3バックの一角の)栗原(16)も右サイドの酒井が縦に抜かれたときのカバーリングのためにやや右サイドに引っ張られている。これ、よく陥るんですが対応としては問題があるんです。
もっと、ゴール前でゴールマウスの幅に沿って、ここでも“3と1”をつくること。だけど、実際の栗原のポジション取りはボールサイドにかなり寄っていて、クロスを入れられてやられたのが栗原と今野(15)の間にできたスペース。栗原はもっと後ろの状況に首を振って確認していれば、自分はこんなところじゃなくてここだよな、という正しいポジションがわかると思うんです。
この場面ではボランチの遠藤(7)が頑張って戻っていて、“3と1”の“1”に入っているんだけど、それだったら栗原と今野の間にできてしまったスペースに滑り込んで埋めたほうがよかった。ただ、ここでは遠藤というよりも栗原の立ち位置のほうが問題。栗原は後ろに入ってくるエルナンデスを見ているのかな?」
映像を見返して確認してみる。クロッサーが上げる瞬間、栗原は首を振ってエルナンデスの位置を確認している。
「ああ、見ていますね。だったらいち早くこのスペースに戻るべきだった。エルナンデスがシュートしたところに。スッと下がって対応することもできた可能性がある」
――これ、今野がもっとボールサイドに寄ってスペースを埋めるという考え方は?
「それでもいいけど、この選手(ヒメネス(19))に対してマンツーマンになっていますよね。今野はこの選手しか見ていない。それでは、この空いてしまったスペースの対応はなかなか難しい。
もしかするとサイズ的な今野の泣きどころなのかもしれない。今野と栗原のポジションがもし逆だったら……エルナンデスの飛び込みにも高さで対応できていたかもしれない」
――ボール自体はいいですよね。
「もう申し分ないくらいの素晴らしいボールです」