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日本代表 11年前

遅れてきた青年、森重真人。その高いポテンシャルで日本代表の起爆剤になれるか?

text by 後藤勝 photo by Asuka Kudo / Football Channel

身体能力の高さと巧さに安定感が加わってきた

 課題の改善に取り組んできたという森重に、何が課題だったのかを訊ねるとこう答えられた。

「課題としていたのは一年を通してのミスを減らすこと。自分はボールによく触るので、ミスをする確率も高くなる。レベルが高くなるにつれ、ミスひとつが失点につながる確率も高くなるので直していかないといけない。それが自分の課題です」

 運動性能が高くともいつミスをしたり退場になるかわからない――という印象は覆された。

 もともと個人能力は非常に優れている。

 身長(プロフィールでは183センチ)のわりに跳躍力があり、190センチ級の長身フォワードを相手にしても十分に競り合える。

 三次元的な守備だけでなく二次元方向にも強い。
「1対1のところは自信を持ってやってきている」と森重は言う。
 まず身体能力の高いストッパーとして信頼が置け、安心できる選手だ。

 そのうえ巧い。

 四隅を衝く直接フリーキックは余興の域を超えて公式戦での得点を期待されるほどだ。J2にいた2011年シーズンでの「発見」以降、ゴール前中央に於ける近距離のフリーキックは、たいていの場合、森重のものとなっている。森重のフリーキックが見事に決まり、歓声と拍手がわいて、公式戦前日練習が上がりになることも珍しくない。

 中長距離のフィードのみならず、足許の技術に長けていてキープ力がある。その力を活かして前線に持ち上がることもしばしばだ。もちろんパスも巧く、最終ラインからのビルドアップはお手のものだ。

 2011年シーズン、今野と森重が持ち、じりじりとせり上がってくると、J2の対戦相手はそれに圧されて下がらざるをえなかった。日本でも最高の部類に入るふたりのセンターバックは、J2ではオーパーツのように浮いた存在だった。

「人に対して強いところ、1対1。ボールを動かしたり攻撃参加が持ち味」と本人も言うように、しっかりと守り、ボールを持ったら攻撃の第一歩に着手、初手のパスでチームを動かし、あるいは自らボールを持って敵陣深くに切り込んでいく――というプレースタイルが浮かんでくる。

 フィジカル重視で選考されたと思しき北京五輪本大会の代表メンバーに入っていた森重は国際舞台でも頼もしいディフェンダーとなるだろう。

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