相手をほとんど視野にとらえていなかった長谷部
――話をイタリア戦の失点シーンに戻しますと、この場面の修正点はやはり長谷部が負けないことですか。
「そうですね。マンツーマンにしては相手を離し過ぎてしまっている。相手のことが全然視野に入っていない。マンツーマンには色んなやり方があるんですが、一つは、自分のちょっと前になら相手を置いておいてもいいんです。そうするとボールも相手も見えるじゃないですか。それでボールが蹴られた瞬間に自分が前へ出て、クリアする」
――相手を少し前に置くくらいがいい。
「少しですけどね。それで後ろに行かれてしまった場合には……」
ここで松田監督が立ち上がる。監督が守る長谷部役、筆者がゴールを決めたデロッシ役。
「後ろにいこうとしてください。そうしたらこのとき僕は鈴木さんの背中に手を軽く添えて押さえればいいんです。これだけで後ろへは行けないでしょう?」
たしかに、軽く手を添えられるだけでほとんど動けない。
「こうやって絶対に後ろにはいかせない。そうすると絶対にマークを見失わないで済むんです。僕がマンツーマンの指導していたときや現役時代はこの方法をとっていました。でも、今はこの添える手でさえもファウルを獲られることがある。『おおい! レフェリー!』とアピールされる可能性がある」
【次ページ】最後の手段は相手の頭に顔を持っていく。すると…