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【松田浩の超分析】日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? あまりにもお粗末な長谷部のコーナーキック対応

text by 鈴木康浩 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ゾーンディフェンスの弱点

――このシーンの問題点は。

「まあ、個人の問題ですね。マンツーマンは個人の問題に帰結するから。マークを外されたら、それが問題になる。そこで勝たなきゃいけないし、最低でも体をぶつけないといけない」

 だからマンツーマンは採用することができないのだという。

「昔はシャツを引っ張ってでも対応できたけど、今はルール上、少しでも相手をつかんだりするとペナルティになるから、ハードなマークができない。そうなるとマンツーマンは採用できないよなあ、と僕の中では結論が出たんです」

――日本代表は往々にして欧州各国にサイズで上回られてしまいますが、競り勝てるかどうかで判断するとなると、確率論ではマンツーマンよりもゾーンのほうが良いということになりそうですか。

「そうですねえ……。まあ、一概には言えないことなので。もちろん、どっちにも良いところと悪いところがあるんです。マンツーマンは相手に自由を与えないようにすることはできる。引っ張りはしなくてもガチャガチャっとしたりして。

 でもゾーンにも弱点はあるんです。ゴール前をゾーンで固めても、その外はフリーだからそこからは確実に折り返される。ただ、そこに合わせられてもまだゴールから遠いからいいと判断しているわけです。もう一つの弱点は、立っている選手の真上にボールを挙げられたとき、そこに飛び込まれると弱い」

――ボールの質がいいとお手上げ?

「質の高さにもよりますが、アウトスウィングのボールが多いですね。ゴールから逃げるボール。そうすると飛び込んでくる相手選手が迎えるボールになりますよね。ディフェンスが背伸びをするように触りにいくのに対して、その上からガツンと叩かれるような感じになる。

 だから、うちでも(栃木でも)ゾーンをやりながら、ものすごく打点の高い選手、たとえば神戸の田代にはマンツーマンをつけるとか。そういう対応をしている。そのためにはマンツーマンで付く選手を一人つくらないといけないから、ゾーンの一番不必要な部分を捨てるとか、もしくは3人で見ていたゾーンを2人で守るとか、そうやって対応する」

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