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監督退任続いてエバートンを襲った大激震。クラブのブランド価値を維持することの難しさ

text by 永田到

失われたオリジナリティー

 ブランディング戦略において、忘れてはならないポイントがある。それは「オリジナリティーの確保」だ。エバートンは新デザインを議論・検討する中で、エンブレム上のモットーがオリジナリティー維持に不可欠であることを見誤っていたと言える。

 先のブランドファイナンス社の研究報告書によると、ブランドランキングがエバートンよりも上位に属する欧州のクラブは31。その内、モットーをエンブレムに取り入れていたのは、マンチェスター・シティ、オリンピック・マルセイユ、アストン・ヴィラのわずか3クラブに留まる。

 つまり、エンブレムにあったモットーの省略は、オリジナリティーを消失させる結果となったのだ。新デザインに検討段階から深く関与したサポーター代表が「エバートンそのものだ」とまで言い切る一方、クラブの正式発表で初めてデザインを知った数万人単位のサポーターが反発し原因は、そこにあると言えるだろう。

 エバートンは、再度のエンブレム見直しに向けた体制の再構築と、さらに多くのサポーターによる関与の実現をコミットしている。エンブレムはサポーター全員によって決められるべきもの、というのがそのスタンスだ。

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