ACLはそんなに重要なのか?
ただ問題は、ACLが「いつ移行するか」の時期が不明確な点だ。現在、AFCの要職に日本人がおらず、その動きを完全に把握できていない。これはJリーグというよりは協会も含めた日本サッカー全体の課題だ。AFCの不穏な動きをいち早く察知できない、または察知して抑止することができない。政治力で負けている。
Jリーグは時期は未定としながらも、「国際的なカレンダーに合わせることにメリットがある」としている。合同委員会でもこの意見は共有されていることだ。移行はACLの日程等を見極めるという。つまりシーズン移行に関しては決まってしまったことで、環境整備などを検討していくということだ。
やむを得ない感はある。現実的なことを考えれば、(今は)ACLを無視することはできない。しかし、欧州がカタールW杯に合わせて日本と同じ春秋制になる可能性もあり、それが実現した場合はどうするのか、という問題は残ったまま。
また、シーズン移行へ向けた「環境整備」も簡単なことではない。雪国クラブへの負担をどうするのか。ブレイク期間を設けるとはいえ開幕が2月にずれ込むことで予想される観客減をどうカバーするのか(当たり前だが寒すぎると足は遠のく。寒いから嫌だという意見は当然ながらあった)。中途半端なブレイク期間により選手のコンディション調整は一層難しくなるが、ケガの予防およびパフォーマンスの低下をどう防ぐのか、など克服すべき点は多々ある。
ACLはそこまで大事なのだろうか。課題はあるが、運営面やピッチ上の質など全体を見れば現状でも十分に高いレベルのJリーグに“余計な”負荷をかけてまで参加する意義はあるのだろうか。
今後数年のことは仕方がないとはいえ、将来的なことを考えれば、AFC(ACL)に振り回されることなく、主体的に動くべきだ。「ACLに合わせてシーズンを移行します」ではなく、例えば「JクラブをヨーロッパのCLに参加させるためにシーズンを移行します」という案の方がずっと建設的な改革案だろう。