二枚舌のクラブ会長
そして忘れてはいけないのが、クラブの会長のメンタリティも基本的にはファンのそれ、ということ。
ミランのベルルスコーニ会長が2トップ起用にこだわり、アレグリ監督を解任しそうになったが、「こう闘った方がいいに決まっている」と専門家然に言い切る様子は、場末のバールでサッカーファンの親父がクダを巻いて話すときのそれ。
一方口で「監督に全幅の信頼を寄せる」と言っておきながら、結果が悪くなれば掌を返す。「来季も残す」と明言したのにシーズン終了後にストラマッチョーニ監督を解任したインテルのモラッティ会長も、いわばファン根性での心配が先に立ったのである。
なおイタリアの場合は、選手も時に「敵」となる。表立って監督を批判することは避けるが、不満のあった選手は影でマスコミに愚痴る。そして全選手に不満がたまってきた時には、ピッチであからさまに監督の意に反してわざと負け、解任を誘おうとするのだ。
そんな時、度々歴代の監督と衝突したカッサーノは言う。
「オレは普通だ、他の奴らのように表向きの顔を作らないだけなんだ」と。
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