本田とポジションが被る若きタレント、サポナーラ獲得の意図は?
つまり2トップをやる上でミランが欲しているのは、ボールがキープ出来てパスを散らせる選手。繊細な技術と視野を備え、何より卓越したフィジカルを有する本田は、多少クラシカルでも必要な条件を満たしている。
19日のイタリア戦後、イタリア人記者に話を伺えば、そういった観点での評価が高かった。民放TV局メディアセットのスポーツキャスター、ピエルルイジ・パルド氏は「フィジカル面を含め、トータルで能力の高い選手はやはり彼だと感じた。ピッチ上のリーダーとして機能していた」と語っていた。
トップ下として、本田に2トップを操って欲しい――これこそが、ミランの思惑である。すでに彼らはセリエBエンポリから、U-21代表のリッカルド・サポナーラを獲得しており、ガッリアーニもわざわざ「彼を獲ったから2トップにした」と言っているが、現実的には長期的な視野で獲得を計ったものだ。
エル・シャラウィのようにブレイクすれば御の字ではあるが、不確定要素はいまだ大きい。スピードに加え卓越した攻撃センスを有しており、U-21欧州選手権でも芸術的なダイレクトシュートを決めていたが、線は細い。逆に、本田に懸かるのは即戦力としての期待だ。これでサポナーラにポジション争いで破れるようなら由々しき事態だと言える。
チームが機能するためには、ボールをキープ出来るトップ下が必要。この辺りの事情は、どこか現在の日本代表とも似ている。交渉が成立してからの話ではあるが、本田がどこまでミランで機能するか、そして代表に何をフィードバックすることになるのか、移籍の場合には期待をもって活躍を見守りたい。
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