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本田圭佑 11年前

戦術的視点から分析。なぜミランは本田圭佑を獲得したいのか?

text by 神尾光臣 photo by Kenzaburo Matsuoka , Asuka Kudo / Football Channel

トップ下はボアテングが務めていたが…

 そしてそれは、昨シーズンもしかり。アレグリ監督は4-3-3を敷いていたが、これにも不満が多かったらしい。ブレイクを果たしたエル・シャラウィを左ウイングに起用し、能力を最大限に発揮させ、かつ守備時には両ウイングがカバーに回って4-5-1気味に中盤を固めるという目的で採用されたシステムで、CLバルセロナ戦での第1レグで勝利した通り組織的な堅守速攻というスタイルには嵌った。

 だが、この試合こそがベルルスコーニのお気に召さなかったのだという。実質ワントップ気味で、ゴールから遠ざかったエル・シャラウィの得点ペースも後半戦ではガクッと落ちている。

 ベルルスコーニは「アレグリは来季ローマへ行く」などと放言してまで監督の追い出しを図った。崩壊寸前だったチームをまとめた手腕から、選手やスタッフからは残留の要望が多く、結局会長はその声に従う事になる。だがその際、条件として出したのが「2トップへの回帰」だったともっぱらの噂だ。

 もっとも、それにはピースが足りなかった。イブラヒモビッチ在籍時には4-3-1-2で戦っていたが、これは前線でボールをキープし、正確にラストパスを供給出来る彼がいてからこその戦術。

 ボアテンクもパスの出し手というよりは、イブラヒモビッチにパスを預けて前線へ飛び出し、得点を狙うというシャドウストライカー的な役割で機能していた。つまりズラタンをパリSGに放出したことは、ボアテンクの戦術的な存在意義もなくなるということを意味していた。

 4-3-3への変更には、パサーとして彼が機能しなかったという事情も意味していた。一方4-3-3で定位置を見いだせなかったボアテンクは、「ポジションを固定して欲しい」と不満を漏らしている。彼の放出が噂されているのは、こういったモチベーション低下の理由が大きいと見られている。

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