一年中休みのない国内リーグ
話を大会システムに戻そう。
この州選手権の他、全国選手権――Campeonato Brasileiro(カンペオナート・ブラジレイロ)がある。これもセリエA、B、C、Dと四部制となっている。この区分は州選手権のリーグとは連動しておらず、現在のパルメイラスのようにサンパウロ州選手権では一部、全国選手権では二部ということが起こりうる。
この全国選手権にサンパウロ、リオ州以外のクラブは特に力を入れる。ヒオ・グランジ・ド・スール州のグレミオ、インテルナシオナル、ミナスジェライス州のアトレチコ・ミネイロ、かつて三浦知良が名前を挙げたパラナ州のクリチーバなどである。こうしたクラブは州では常に上位を確保し、サンパウロやリオの著名クラブとの対戦を心待ちにしているのだ。
そしてさらに、全国制のカップ戦『コパ・ブラジル』(ブラジル・カップ)があり、国内大会に加えて、リベルタドーレス杯などの国際大会が加わる。こうした大会が期間をずらして行われているのだ。大会システム、時に呼称もしばしば変更されるため、他の国から見ると非常にわかりにくい。
大会の時期も統一されていない。通常、W杯期間中は国内リーグは休止となる。しかし、代表選手を出していない地方のクラブにとってW杯は関係ない。そのため、州リーグを行っていることがある。ブラジルでは年中どこかでサッカーを見ることが出来るというのは事実である。
若手選手は試合経験を積むことで成長する。この重層的で試合数が多いシステムが、個性ある有能な選手を次々と産み出す要因となっている。
【第2回へ続く】