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スペインとの“前哨戦”を制したブラジル。コンフェデで見せた王国の真価

スコラーリ監督が就任して以降、ブラジル代表はなかなか調子が上がらなかった。ところが、コンフェデが始まると王国はらしさを見せる。決勝でも世界王者のスペインを下し、まずは来年のW杯へ向けて自分たちが優勝候補であることを世界に見せつけた。

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

勝利への執着を見せたブラジル

「カンペオン・ヴォウトウ(王者が戻ってきた)」。世界王者のスペインからの快勝を目前に、マラカナンには7万人を超えるサポーターの誇らしげなコールが響き渡った。

 世界最多のW杯優勝回数を誇るサッカー王国のメディアでさえも「史上最強」と賞賛する声が多い現在の世界王者との決勝戦。誰もが待ち望んだ今大会最高のカードでサッカー王国は「スペインが有利だとは思っていない。ここブラジルで我々自身がリスペクトされるようにプレーしなければいけない」と前日会見で、スコラーリ監督が話した通りの試合展開を披露した。

 比較的涼しいベロ・オリゾンテでの準決勝から中3日で挑むブラジルと、蒸し暑いフォルタレーザで延長の末PK戦まで戦い抜いたスペインは中2日。コンディション的に王国の優位性は明らかだったが、決勝を前に王国の指揮官は改めて自らの哲学をこう披露した。

ブラジル代表
勝利への執着を見せたブラジル【写真:松岡健三郎】

「結果は歴史の一部として残るが、美しい試合は過ぎ去ってしまうもの。好もうと好むまいと、これが私の哲学だ」。

 そんなスコラーリ監督の思いを凝縮したのが開始早々の2分にフレッジが奪った先制点だ。「ゴール前ではどんな体勢でもゴールに執着するのがストライカーさ」と自らがこう語っていたフレッジの倒れ込みながらのゴールには、その後2点目を叩き出すネイマールのような華麗さは皆無だったものの、勝利への執着心が刻み込まれていた。

 結果的にはブラジルが3対0で一方的にスペインを葬り去った格好に終わった決勝戦だが、ターニングポイントはゴールライン上で辛うじてペドロのシュートをクリアしたダヴィジ・ルイスの好プレー。マラカナンが「ダヴィジ・ルイス」コールに包まれたこのプレーなしに、疲労困憊のスペインにのしかかるネイマールのスーパーゴールは生まれなかった。

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