フッキまでもが献身的に守備を
ルイス・グスタボの起用の他にも見るべき部分は多い。左右のサイドバックは左のマルセロが常に高いポジションを取る反面、右のダニエウ・アウベスはバックラインに残ることが多く、しかし機を見てオーバーラップを繰り出した。
バルセロナでは攻撃的な面が注目されるダニエウ・アウベスだが、激しいアップダウンや守備のハードワークに優れる選手であり、心肺能力もマルセロより優れる。スコラーリ監督は彼にやや地味な役割を担わせるために、影では相当な説得をしたはずだ。
ネイマール、オスカル、フッキが並ぶ2列目も、左サイドでマークが厳しくなりがちなネイマールがなるべく孤立しない様に、オスカルが頻繁に左へ流れてサポート。ユース代表からコンビを組む彼らのユニットとしての相乗効果も生み出した。
その一方で、右サイドのフッキは左に攻撃が偏る状況を逆手に取り、常に前を向いて豪快なドリブルを仕掛けた。
そのフッキに関して驚かされたのが守備の献身だ。キャリアの中で彼が懸命な守備を見せたのは、ヴィラス・ボアス(現・トッテナム)に率いられたポルト時代のヨーロッパリーグ決勝ぐらい。
しかし、この大会ではフッキが守備時にボランチの2人と中盤での守備を買って出ることで、ネイマールはフレッジと共に高い位置で攻撃に備えることができたのだ。
パズルのピースをはめ込むように、適材適所に選手を配置しても、そこで選手たちがしっかりと役割を果たせなければチームは壊れてしまう。だからこそ起用と説得はセットなのであり、優れたセレクターであることは同時に、優れたモチベーターでなければいけない。
ここで満足せずにチームの強化をしていくことも誓ったフェリポン。本大会でどんなセレソンを見せてくれるのだろうか。
【了】