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元伊代表監督ドナドーニが日本代表を分析。イタリア戦で日本に唯一欠けていたものとは?

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「2-0の場面でイタリアの焦りは尋常ではなかった」

「とはいえ、それもまた結果論に過ぎないんだが、その比率が例えば4:6辺りで11人に共有されていれば、その後の展開はまったく別なものになっていた“はず”だと。

 さらに言えば、ここで私が言う狡猾さというのはね、単に意図してリズムを落としては多少なりとも慎重になるだけではなくて、日本代表はその備えている別の能力を活かすべきだったという意味でもあるんだよ。

 つまり、日本代表は実に俊敏な選手たちを揃えているのだからね。さらにはコンディションの面でも明らかにイタリアを上回っていた。とすればカウンターを使わない手はない。

 しかも、それは敵であるイタリアが最も得意とするものなのだから、当然のことながらそれ(カウンター狙い)をやられればイタリアが被った精神的なダメージは極めて大きかったはずだし、もちろんイタリアとしてはそれをやられるのが最もキツいわけでね。

 仮にそれで3点目を奪っていればもはやその時点であの日のイタリアは終わっていたに違いない。確かにコンディション不良に苦しんでいたのは事実だが、いずれにせよ、あの2-0の場面でのイタリアの焦りは尋常ではなかった」

――意図的にラインを下げ、相手を自陣側へ誘き寄せる。焦るイタリアは間違いなくその罠に嵌ったはずであると。

「その通り。だが、これを私は先ほど“狡猾さ”と言ったわけだが、やはりそれは正しい言葉ではないのだろう。言わば当たり前の策であり駆け引きなのだからね。

 いずれにしても、ザック率いる日本代表は、メキシコ戦も含めて、今回のこの3連敗でおよそすべての問題点を出し尽くしたとも言えるのではないか。少なくとも重要な改善点を洗い出せたはず。件の対イタリアで攻め続けたという事実も“意図的にそうした”、と考えるのは余りに深読みなのだろうか。

 確かに3試合で9失点は重い数字だが、先に述べた駆け引きの部分さえ上手く改められれば、その数は高い確率で減らすことができる。今回の3試合を見た一人の“専門家”として、現日本代表のメンバーにはそれだけの力があると確信している」

【了】

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