「スイスに行くからということではなくて」(大木武監督)
試合後の共同記者会見の席上で、京都の大木武監督に訊いた。
──最後に、栃木の攻撃が、ものすごく勢いがついてきた中で、替えないとやられてしまうかもしれないが、替えるのも難しいという状況で、久保くんを入れました。難しい判断だったと思いますが、どのようなお考えだったのでしょうか。
「久保(裕也)がスイスに行くからということではなくてですね(苦笑)、(栃木の)右サイドは山形(辰徳)くんが割とアグレッシヴだということ。左サイドは西岡(大輝)くんが入ったんですけれども、ガンバ戦で中盤でプレーしたところを観て、どちらかと言うとどっしり守る感じだろうと思いました。
そこで一つロングボールやハイボールがサイドに入ったときに、山瀬(功治)よりサンペー(三平和司)の方が西岡くんに対して競れるなと。そこで三平が競って一度“相手の背中をとる”というかですね、そういう形をとりたいという気持ちがありました。
左に駒井(善成)を持っていって、山形くんを抑える。どちらかと言うと左より右の方がアグレッシヴであるような感じがしましたので、そこを抑えていく。ウチの右サイド=相手の左サイドは三平が抑える。
センターは(久保)裕也がやってくれるというところで、(山瀬)功治も大分よかったんですけれども、ちょっと疲れてきている部分もありましたし、押され気味になりましたので、本当に替えるのは難しかったんですけれども、そこは決断しました」
替えないと栃木の勢いに押し込まれてしまうという決断。そのカードとして久保が最適だったかどうかは別として、選ばれた久保は懸命に戦った。
センターフォワードの三平が右ウイングにまわり、右にいた駒井は左へ。久保の位置はセンターだった。
選手間の距離は攻勢だったセカンドハーフの前半とは違っていた。守勢の状況で、フレッシュな自分が相手ボールホルダーを追い回さないといけないことはよくわかる。オープンな展開で、メンバー交替によってかわったバランスを確かめる間もない。ファーストディフェンダーとして久保は奔走した。