ポイントとなったカンドレーヴァとマルキジオ
そしてデ・ロッシやバックラインから出たパスの有効な受け手になったのがカンドレーヴァとマルキジオだ。シャビがピルロをマンマークし、イニエスタが高い位置でプレッシングに行くため、ブスケッツが1人で2列目の2人を見なければいけなかった。彼らに縦パスが入ったところで、イタリアは積極的に攻撃のスイッチを入れてスペインの守備を翻弄した。
カンドレーヴァとマルキジオを起点とした攻撃にさらなる迫力とバリエーションを加えたのが左右のウィングバック。彼らはビルドアップを中央に任せ、スペインの守備が全体的に横にスライドすることで、生じる前方にスペースを駆け上がってパスを引き出した。
基本的な役割は共通するが、左のジャッケリーニは主に相手の右SBアルベロアに対してドリブルを仕掛けた。右のマッジョはカウンターや左を起点とした攻撃で前方に完全なスペースが生じたタイミングを見計らい、鋭い飛び出しでチャンスにつなげ、時にペナルティエリアまで飛び込んで自らフィニッシュを狙った。
彼らの攻撃参加はスペインの守備スタイルの逆手を取ったものだが、そこに現在のイタリアが志向する流動的なパス&ムーブの哲学が反映されていることが、選手たちの継続的な機能性を生んでいるのだろう。
【次ページ】ザックの3-4-3とは違うが参考にすべき点はある