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ザック流3-4-3成功のヒントはアズーリにあり。イタリアの3バックはなぜスペイン戦で機能したのか?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

なぜ最後まで破綻しなかったのか?

 スペインの後ろからのつなぎをチェックするのは専らジラルディーノの役割で、攻撃時はCBの位置に落ちるブスケッツもジラルディーノの担当になる。ここでジラルディーノが直接ボールを奪う必要はない。彼が託されるのは持ち上がりをさせないこと、攻撃方向を限定させることの2つで十分なのだ。

 中盤では4人がイニエスタとシャビの自由を許さず、シルバとペドロが中に入って来る動きを3バックとの連係でケアする。特にワンツーを仕掛けてくるシルバの対応は絶妙で、決定的な仕事は全くさせなかった。

 後半の途中からクロスのスペシャリストであるヘスス・ナバスが投入されると、左CBのキエッリーニがサイドで守備する必要が生じ、中央がやや開いてしまった。またカンドレーヴァと交替で入ったアクイラーニがしばしば下がっての守備をサボるため、バイタルエリアの守備がやや苦しくなったが、3バックとが粘り強く守り、シャビの運動量が落ちたことで、最後まで破綻することはなかった。

 プランデッリ監督がこの試合で採用した3バックは、守備面では中央を強化することを想定している。だから、サイドを攻撃されても基本的に3バックの選手は左右にスライドしない。

 後半の途中まではスペインもそれにはまっていたが、ヘスス・ナバスを入れてサイドの仕掛けを増やしたため、イタリアもサイドの守備に意識を割かなければならなくなった。この状況で4バックにする選択肢もあったはずだが、プランデッリ監督は3バックのまま、選手のポジショニングを調整することでしのいだのだ。

大きかった攻撃面でのメリット

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ピルロをマークするシャビ【写真:松岡健三郎】

 イタリアの3バックは一見して、相手の長所を消す守備的な意図が強い印象を与えるが、実は攻撃面のメリットが大きいのではないかと実感した。ポイントは2シャドーのマルキジオとカンドレーヴァのポジショニングと動き出しだ。試合後、デル・ボスケ監督は「マルキジオとカンドレーヴァにとても苦しめられた」と語っている。

 スペインは高い位置からプレスをかける守備スタイルだが、ピルロに対してはシャビがマンマークをしていた。イタリアの効果的な攻撃は必ずピルロが起点になるという考えだろう。シャビに疲労が表れた終盤までピルロ自身はほとんど前を向いてボールを持てなかったが、シンプルなバックパスや横パスに徹した。

 縦パスの出し手となったのはデ・ロッシだ。彼と近い位置関係にあるイニエスタは、シャビのピルロに対するマンマークと違い、ボールの位置に応じて動く。そのため後ろでパスをつなげば一時的にデ・ロッシの前が空いた。

 そこからアプローチされても、最終ラインでトーレスに付かれていない選手に叩けば、そこからミドルパスを前方に出すことができたのだ。特にフィード能力が高いボヌッチの縦パスは効果的だった。

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