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“国内組”の活躍で堅守ウルグアイを攻略。勝てるチームへと成長したブラジル

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

「ファイティングスピリッツを失わなかった」

 ワンチャンスをものにした格好のブラジルだが、後半3分にチアゴ・シウヴァのクリアミスをカバーニが蹴り込んで試合を振り出しにするとボランチラインまでボールを受けに下がるオスカールの存在もあって、ボールは保持するものの、前線の迫力を欠いたまま。

地元アトレチコ・ミネイロのベルナルドへのコールが鳴り響く中、指揮官が選んだ最初のカードは162センチの小兵であるそのベルナルドだ。

パウリーニョ
パウリーニョ【写真:松岡健三郎】

攻守において低調だったフッキに代わって後半18分に投入された背番号20の存在と、「より攻撃にギアを入れる事と、エリア外からのシュートを求められた」というエルナーネスの投入でブラジルはリスクを冒しての総攻撃態勢。

ただ、決定機を作り切れない王国とは対照的にウルグアイは後半33分にソアレスとカバーニだけのコンビでジュリオ・セーザルが守るゴールを脅かす。

 ジリジリと試合時間が90分に迫り始めた後半41分、やはり勝負を決めたのは国内組の輝きだった。「ダヴィがニアで相手をつるからと言ったので僕はファーに入った」(パウリーニョ)。

日本戦で見せたような飛び出しからのシュートも得意だが、点で競り勝つセットプレーもパウリーニョの得意技。コリンチャンスでの十八番を知るネイマールのキックも絶妙だった。

「今日は最高のサッカーを見せられなかったかもしれない。ただ、僕らはファイティングスピリッツを失わなかった」(ジュリオ・セーザル)。成熟し切ったベテランを擁し、完成度の高いウルグアイに、発展途上の若きセレソンが見せた勝負強さはチームの成長の証。

ネイマールは言う。「大会を通じて、チームは成長しているし、決勝に向けて大きな一歩を踏み出せた」。上手いチームから勝てるチームへ――。スコラーリ監督のカラーは今、確かに、根付きつつある。

【了】

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