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【ロングインタビュー】カルロ・アンチェロッティ、勝者の戦術論(中編)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

安定感を誇ったミラン、その秘訣とは?

――とはいえミスター率いるミランはCLの他にもスクデットとクラブW杯を共に1度ずつ制しています。あの欧州屈指の安定感を誇ったミランを作り上げるに至った秘訣とは?

「それを言葉にするのは不可能……だね。ただ言えるのは、監督としてこれ以上ない選手たちに恵まれたということ。1人も欠くことなくすべてがチームのために力の限りを尽くしてくれた。すべては選手たちのお陰だよ。

 特に印象に残っているのが06-07シーズン。まだ覚えている人も多いと思うんだが、あの“カルチョカオス”に揺れていた中で始まったシーズン。CLは予備予選から出場し、何とかレッドスターを退けて本大会に臨むも、そのグループリーグでは無惨な試合を繰り返し、国内リーグでも“エンポリ”に次ぐ7位と低迷していた。絶対的エースだったシェフチェンコも去り、誰もがミランに勝利はないと信じる状況だった。

 だが、我々は07年の1月にマルタで合宿を張り、そこでのある日の夜、夕食の席で全員が一つのテーブルを囲むと堅い結束を約束していたんだ。いわゆる“マルタ協定”というヤツだよ(笑)。その鉄の結束をセードルフの強烈なリーダーシップが可能にし、するとカカが奇跡的ともいうべき急成長を遂げてチームを牽引しバロンドールをも獲得、インザーギが点を獲りまくり、CL準決勝では明らかに実力で我々を上回っていたマンチェスター・Uを倒してみせた。あれこそが技術・戦術なるものを遥かに超えた次元での勝利。生涯忘れ得ない試合だよ。そして決勝では、“あのリバプール”に勝ちリベンジを果たしてみせた。そのすべてが、繰り返しになるんだが、チームのために力の限りを尽くしてくれた選手たちのお陰だ」

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