ゴール前に入るタイミングにも連動を
この試合は前半はもちろん、疲れが見られた後半でさえ、敵陣にボールを運んだ時に、より前に5~6人の選手がいた。1つにはボランチが高い位置でボールを捌く、あるいは積極的に攻め上がる意識が高かったことだ。
普段はDFラインの手前まで下がって、攻撃を組み立てる遠藤も、相手のプレッシャーが少なかったこともあってか、むしろ本田から近い位置でボールを触り、長谷部と交互にバイタルエリア周辺への飛び出しを見せた。
実際にそうした攻撃の厚みが得点チャンスをもたらしたのだが、クロスに対する複数の選手の入り方、本田と香川がコンビネーションを出している時の岡崎や前田の動きにより同調性が加われば、イタリア級の相手が日本の攻め口を分かっていても、1試合の中で何度か打ち破ることができるはず。
しっかりと攻撃人数がかかっていただけに、1人が相手の守備者を引き付けて、ズレたところに別の選手が入って来る。シュートをGKが弾いてももう1人の選手が詰めているといった様に、1つひとつのチャンスで得点の可能性が高くなる。
岡崎、香川、そして本田のPKを誘った岡崎の飛び出しと、日本の3得点は全て立派ではあるが、流れの中でもチャンスを作りながら、結局は決められなかったことは課題として受け止める必要がある。
個人としての決定力を上げることは重要だが、1年でバロテッリに生まれ変われるわけではない。攻撃の厚みにより連動性を加えることで、タイミング良くフィニッシュできる場面を増やしたい。
それらは残り1年の強化におけるポイントだが、コンフェデはまだメキシコ戦が残っている。ザッケローニ監督はフレッシュな選手をテストする可能性も少なくないが、中2日の厳しい日程ながら、イタリア戦で得た自信と感じた課題をしっかりかみしめて、大会の集大成、そして1年間のスタートにつながるものを表現してほしい。
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