求められるプレッシングの質
イタリア戦で非常に際立ったのが高い位置からの守備、特に攻撃陣のプレッシングだった。蒸し暑いレシフェの環境にありながら、激しく起点を潰しに行き、周囲の選手もそれに連動した。
ザッケローニ監督が言うところのインテンシティが発揮されていたのだが、前半の終りから守備のハードワークがガクっと落ち、しかも前掛かりのままであったために、大きなスペースを再三突かれた。さらに攻撃の強い姿勢は崩さなかったため、早い時間帯に全体が縦に間延びしてしまったのだ。
それでもDFラインが球際で踏ん張り、タイミングを見ながら勇気を持ってラインを押し上げたため、後半でもそれなりにコンパクトに見える局面もあったが、実際は前半と後半では大きく違っていた。後半になり運動量が落ちてくるのはどんな強豪も同じだが、途中でペースが落ちて、そのままバタバタになってしまう状況があってはならない。
安定して高い守備のインテンシティを発揮し続けるためには、ペース配分もさることながら、1トップからセカンドトップ、ボランチと連動する精度をさらに上げて、運動量の無駄をなくしたい。もちろん、イタリア戦は“崖っぷち”の状況で選手たちが鬼気迫るプレーを示した結果であり、その戦いぶりに批判は無い。
しかし、高い位置からボールを奪いに行く場合にも、どこに追い込んで行くかをより明確にしていく必要がある。またボール奪取から素早く攻撃につなごうという意識はいいが、状況によってはクリアに逃れた方が良い場合などもある。
イタリア戦は非常にテンションが高い中で、多少のズレがあってもリカバリーできていたが、研究してくる相手に付け入られる部分でもあるので、チーム内の共有をさらに詰めたいところだ。
【次ページ】ゴール前に入るタイミングにも連動を