メキシコにペースを握られ……
そんなメキシコに対して、輝きを放ったのがネイマールだった。右サイドの細かいパス回しからダニエウ・アウヴェスがクロス。ロドリゲスのクリアミスを、ネイマールが豪快に叩き込み、カステロンの場内が一気に沸点に達する。
その直後にはダニエウ・アウヴェスが絶妙のループを放ち、ブラジルが完全に主導権を握ったかに見られたが、ブラジルペースで進んだのは前半の25分付近まで。
イタリア戦では本来の鋭さをみじんも見せなかったメキシコの攻撃陣は、ブラジルの両サイドバックの背後、とりわけ守備力に課題を抱えるマルセロのサイドをドス・サントスらがつけこみ、ペースを握り返す。
前半を終えた段階でのボール支配はブラジルの48%に対してメキシコが52%。
いかに試合前に熱狂的な後押しをしようとも、目の前で展開される低調な攻めを黙って受け入れるほどブラジルのサポーターは甘くない。後半開始早々からネイマールに匹敵する打開力を持つルーカスの投入を求めるコールが巻き起こるが、指揮官が選択したのは低調だったオスカールの交代だ。
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