リズムを崩せる細貝萌
3:ボランチ 細貝萌
「ボール支配率」を高めるには、自分たちの攻撃でボールを回すだけでなく、相手の守備を早いタイミングで止める必要がある。しかも、イタリアは中盤にピルロ、デ・ロッシ、モントリーボがおり、ここで自由を与えると多少長いレンジでも高精度のパスがバロテッリなど前線に通ってしまう。
そうなると失点のリスクが大きくなるだけでなく、ブラジル戦と同じく全体が下げさせられることになる。長谷部と遠藤のボランチ・コンビでは中盤に厚みをかけるイタリアの攻撃を阻止するのは難しい。ここで長谷部に代え、最もハードワークができる細貝を起用すれば、守備面のインテンシティが上がり、イタリアのリズムを崩すことも可能だ。
細貝はここまで攻撃面での貢献が非常に乏しいが、本来は鋭い飛び出しを持ち味とする選手だ。イタリア戦では“勇気とバランス”の勇気を強めて、相手の組織的な守備がわずかでも開いた所に突っ込んでいきたい。洗練された組織ほど、意外性のあるオプションに弱いからだ。
また相手の形にもよるが、細貝を入れることによって、攻撃時は遠藤をやや高めの位置に出し、[4-1-4-1]気味にしても面白い。
選手を替えるというのは分かりやすい刺激策であり、今後にもつながるという意味で提唱してみた。実際にザッケローニ監督が、このタイミングでどこまで固定的なセオリーを崩すのが有効と考えるか、そして覚悟があるかは分からない。
もちろん、いつものメンバーだろうと“崖っぷち”の状況で奮起し、イタリア相手に“消化不良”にならない試合をしてくれれば良いが、結果を恐れることなくチャレンジして欲しいことは、いかなるメンバーでも変わらない。
【了】