バロテッリへのマークは今野が適任
そして、イタリアのもう一人の最重要人物がバロテッリである。メキシコ戦の決勝ゴールとなった2点目は後方からの難しい浮き球のパスを収めて、相手2人に挟まれながらもねじ込んだもの。思わず「日本にもこんなストライカーがいれば……」と“ないものねだり”をしてしまうようなプレーだった。
バロテッリに対して、今野泰幸は「イライラさせればチャンスはある」と語っているが、まさにその通りだろう。バロテッリは改善傾向にあるとはいえ、依然としてオフ・ザ・ボールの動きに乏しく、ボールが入ってからは強いが、味方から良いパスが出てこなければゲームから消えてしまうことも多い。
センターFWのバロテッリにはサイズ的に吉田麻也がマークを見たほうが良いと感じるかもしれないが、ケーヒルなどの大型FWにも出足の良いインターセプトや身体をくっつけて自由を奪うディフェンスで抑えた今野のほうが適役だろう。バロテッリvs今野はこの試合の注目ポイントである。
バロテッリの圧倒的な存在感に隠れてはいるが、“イタリアの岡崎”と呼びたくなるようなジャッケリーニも非常に厄介な選手。岡崎と同じように左サイドからダイアゴナル(斜め)にゴール前に入ってくる動きが特徴的で、相手の視野から消えるプレーを得意とする。この選手に対してはサイドバックとセンターバックでうまくマークを受け渡しながら止めたい。
攻撃面のチャンスがそれほど多くなることは考えにくいが、メキシコ戦の33分にセンターバックのバルザリが自陣ゴール前でドス・サントスにボールを奪われ、止めようとして倒してしまいPKを与えたように、岡崎、前田がセンターバックに精力的にチェイシングをかけていくのも手だろう。
どちらにせよ、イタリア戦はブラジル戦と同じように日本にとって苦しい試合になることは間違いない。ブラジル戦で評価を落としたザックジャパンにとってイタリア戦はリベンジのチャンス。ザッケローニ監督の母国に日本代表はインパクトを与えることができるか。
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