ピルロ対策への「対策」はすでにできている
ユーロ準優勝国のイタリアは「ピルロのチーム」と言われてきた。だが、イタリアの初戦となったメキシコ戦を見る限り、今大会のイタリアは「ピルロだけを抑えれば勝てるチーム」ではなくなっているのは明らかだ。
最も厄介なのはイタリアが攻撃時と守備時にシステムを変化させてくることだ。守備時は4-3-2-1で、中盤の3枚には右からデ・ロッシ、ピルロ、モントリーボという並びで、1トップのバロテッリを頂点に2列目はジャッケリーニとマルキージオが入る。
しかし、攻撃時にはバロテッリとジャッケリーニが2トップのようになり、モントリーボとマルキージオが2列目、ピルロとデ・ロッシのダブルボランチとなって4-2-2-2のようになる。
ユーロのイタリアは“レジスタ”と呼ばれるピルロが中盤の底で配球係になって展開するサッカーを展開していた。しかし、今のイタリアはピルロだけでなくデ・ロッシやモントリーボといった他の選手もゲームを組み立てることができる。
象徴的だったのが、メキシコ戦で相手FWのエルナンデスがイタリアの攻撃時にピルロにピッタリとマンツーマンでマークをつけてきたときのこと。ピルロはエルナンデスがついてくると見るや、スッとポジションを上げてトップ下に入った。ピルロのところに入れ替わるようにモントリーボが下りてパスを受けてみせたのだ。
ピルロに特定のマーカーをつける作戦は日本も採る可能性はあるが、このような解決策をイタリアがすでに用意していることは踏まえるべきだろう。ザッケローニ監督がどのようなピルロ対策を打ち出すのか。この試合の焦点の一つになることは間違いない。