変えないという判断も「柔軟性」の1つ
――つまり、90分を通してムダなく正確に、かつ効果的に走り続けるためのコンディションなくしてピルロは活きない。ピルロが活きないとすれば、高い確率でイタリアというチーム全体のプレーの質も自ずと落ちる。
「まぁ、その問いに関してはとりあえずノーコメントということにさせてもらおうか(笑)」
――ところでミスター。昨年のユーロ初戦、あの対スペインでは突如3バックを採用した。今回も場合によってはそのような“奇策”を打つ可能性がありますか?
「巷間よく言われる“(戦術面での)柔軟性”は確かに重要だし、この私もそれなりの柔らかさは持っているつもりだ。ただ大切なのは、その柔軟性をいついかなる場面で発揮しては実践に移すかということ。要するに、あえて変えないと判断することもまた重要な監督としての資質、ここで言う“柔軟性”の1つではないかと。
何よりも重要なのは、ベースとなる1つの形を確立させておくこと。その上で、オプションという名の選択肢を高いレベルで備えた上で、配下におく選手の特性を詳細に見極めながら、選手たちのコンディションに応じて何が最もチームに適した形であるかを考慮し、対戦相手の特性や試合の流れによって必要な策を講じていく。と同時にチームに“適さない”形もまた正しく見極めながらね」
――仮に再び<あの>スペインと相対するとすれば?
「それは実に難しい質問だね(笑)。ただ、とにかくあのチームのサッカーは他とは大きく異なるからね、(DF3枚で行く)可能性がゼロではないのは確かなんだろうが…」
【了】