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日本はなぜスタイルを発揮できなかったのか? 低いボール支配率が生んだブラジル戦完敗劇

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

“自殺行為”だった強引なパス

 しかも日本は縦にパスをつなぐ意識が強く、本田や香川に窮屈な縦パスを通そうとしたり、岡崎を縦に走らせようとした結果、パスがずれたところでカットされる、あるいはロングパスが結局、岡崎や本田に通らないといった現象が相次いだ。

“勇気とバランス”を掲げるザッケローニ監督が求める攻撃として“縦に厳しく付けるパス”というのがあるが、それは両SBがある程度、高い位置を取ることで相手の守備が開き、1トップや2列目の選手がしっかり受け手になれる状況を作れてこそ要求されるべきもの。

 ブラジルの守備が張っているところに強引なパスを出すのは“勇気”ではなく、単なる“自殺行為”だ。

「もうちょっと動かしながらやる必要があるし、動かせば必ずギャップが生まれるので、出し入れをもうちょっとやっていかないと、一発で簡単にはやらせてくれない」と遠藤は振り返る。

 だが、普段はポゼッションを高める存在である彼からして、強引なパスに頼ってしまったところが、ブラジルから受ける圧迫感、そして周囲が効果的なパスを引き出すための動きの乏しさを表している。

 コンディションやアウェーの雰囲気、もちろんブラジルの個のレベルの高さなど、要因はいくつかあるだろうが、厳しい状況の中でも自分たちの持ち味をしっかり出して攻守をオーガナイズできなかったことが、結果として「ボール支配率」を大きく下げたのだ。

【了】

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