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何もできず完敗したブラジル戦。なぜ日本は無力だったのか?【どこよりも早い日本代表採点】

シリーズ:どこよりも早い採点 text by 植田路生

ザックは何がしたかったのか?

 3-0という点差もそうだが、内容を見ても何もできなかった。選手たちを擁護できる点は2つ。1つはブラジルのホームであること。当たり前だが、アウェイでの戦いは難しい。もう1つは疲労。11日にドーハでイラクと対戦し、長距離の移動を強いられた。コンディション的に難しさはあった。

 だが、2つ目はある程度防ぐことができた。勝つ必要のなかったW杯予選に今日のメンバーの多くが出場していた。普段は豊富な運動量でチームを支える岡崎と遠藤保仁は疲弊しており、後半は特にそれが顕著に。間延びしてしまったのもこのためだ。

 ブラジルとは昨年の10月に対戦しているが、その時と比べて自分たちの攻撃の形が作れなかったのは明らか。個の能力が足りないのは試合前からわかっていたことで、そこをチームとして、組織としてカバーしていくのが日本代表の良さだったはずだ。

 だが、選手たちの疲労、そして腰の引けた戦い方により停滞感の漂う試合となってしまった。一番の差が出たのが攻守の切り替え。ブラジルはボール奪取時に、一気に何人もの選手が前に走り、攻撃に圧力をかけていた。ボランチのパウリーニョが何度も前線に顔を出していたのがいい例だ。

 それに対し日本は、得意なはずの鋭さがまったくなかった。ブラジル攻撃陣を恐れてか、サイドバックのオーバーラップ、ボランチの攻撃参加が少ない。また、勇気を持って縦に早く運ぶ姿勢も足りなかった。中途半端なポゼッションでは相手を崩すには至らず、カウンターの餌食になった。

 一体ブラジルを相手にどういうサッカーで、どうやって勝つイメージを指揮官は描いていたのだろう。何をしてもどっちつかず、(日本にとって)煮え切らない試合展開は、ある程度守りつつも、自分たちの攻撃の形は作りたい、という中途半端な戦術が生んだものだ。

 日本はまだ成長過程のチーム。ブラジルのような強豪国とは異なり、二兎を追っていいレベルにない。もちろん、本番はW杯だ。だが、この試合はザッケローニの3年間の集大成でもある。

 昨年の対戦は大差こそついたが、日本の形が見え、大きな希望を抱けた試合だった。今日の試合は点差こそ縮められた。だが、試合後に残ったのは希望よりも絶望に近い。選手たちが目指すW杯優勝は、遠ざかった。そしてチームとしての成長はあまり見られないと言っていい。

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