【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue59】掲載
守備時に足りないゾーンディフェンスの意識
とは言え、一昨年のアルゼンチン戦では、ザッケローニ監督も試合中、ベンチから両手を狭めるジェスチャーで「コンパクトにしろ!」という指示を繰り返し伝え、選手たちも忠実に実行していたのだ。
「僕もそう思うし、これまでの日本代表の試合を見ていても感じがいいなと思っていたんです。だから守備のコンセプトも僕と同じなのかなと。攻撃時は4-2-3-1でも守備のときは4-4-2になる。ザッケローニ監督もそれが理に適っていて、守備のバランスがいいと考えているんだと思います。
であれば、ゾーンディフェンスの守備時に大事なことは、守備にも行けるし攻撃にも行ける、という良い意味で中途半端なポジションをとること。そのポジションからであれば香川はワントップの本田が引いた時にできる中央のスペースへ飛び出すこともできるし、サイドチェンジできそうであればそこからワイドのポジションへと移動することもできる。あの香川のポジションだと攻撃に広がりは持たせられても同時に守備には行けない。
ましてや相手はブラジルです。序盤は自分たちの攻撃が良くて相手を押し込められていたけれど、まだどうなるか何もわからない状況で、守備の局面でしっかりと守備のポジションをとらないのはなぜか、ということです。そう考えると、フランス戦の勝利とブラジル戦の立ち上がりの良さによって、ブラジルを甘くみてしまったのではないかなと感じるんです」
その必然の結果としてブラジルに先制を許した日本。それでも序盤の攻勢は止むことなく、失点後の14分には香川がゴールに迫る決定機もつくった。松田監督は「同点にするならこの時間帯しかなかった」と見る。