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遠藤保仁の原点となったサッカー王国。天才ボランチが描くブラジル戦・勝利への道筋

日本屈指のボランチ、遠藤保仁。彼のスタイルの原点は王国・ブラジルにある。日本代表の一員としてコンフェデ開幕戦でブラジルと対戦する遠藤は“第二の母国”に何を思うのか?

text by 下薗昌記 photo by Asuka Kudo / Football Channel

突如口から出たポルトガル語

 ブラジルが数多く輩出してきたクラッキ(名手)の一人にエンサイクロペジア(百科事典)の愛称を持つ男がいた。1958年と1962年のワールドカップ優勝に貢献した左サイドバックのニウトン・サントスその人である。

 そのプレーの引き出しの多さ故、百科事典に例えられたニウトンではあるが、日本代表を牽引する遠藤保仁も、奥深さでは決して負けていない。

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遠藤保仁【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 遡ること約5年前の2008年シーズンのリーグ戦ホーム最終節の浦和戦。スコアレスだった試合終盤、ゴール前に上がったクロスにルーカス(現FC東京)が合わせようとした瞬間、背後にいた背番号7が脳裏にあるサッカー辞典のページをめくって開いた項目は、一言のポルトガル語だった。

「デイシャ(触るな)」

 厳密に言うとサッカー用語でスルーは「フラ」なのだが、ブラジル人にとっては十分すぎるかけ声にビビッドに反応したルーカスは見事にスルー。決勝ゴールを叩き込んだのは背番号7だった。

 試合後にルーカスは「ヤットがポルトガル語で指示をするのは初めて聞いたので驚いたよ」と脱帽した。

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