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ブラジル戦プレイバック 日本代表の守備はなぜ崩壊したのか?(前編)

text by 鈴木康浩

フリーでシュートを打たせた遠藤と香川のポジショニング

 その意識がそのまま仇となり、11分40秒過ぎには最初の失点シーンを迎えてしまう。ブラジルの先制点は内田のクリアミスが最大の要因であることに間違いないが、松田監督は「問題はそれだけではない」と言う。ブラジルの先制点は、ブラジルがDFラインでゆったりとボールを繋ぐところから始まる。

「ブラジルが繋いでいる場面は何も問題ないですよね。カウンターでも何でもないですし」

 そしてセンターバックのダヴィド・ルイス(4)が自陣左サイドから縦にパスを入れた瞬間だった(図11分41秒)。

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内田がヘディングミスをする直前。ゾーンの概念では、遠藤(7)が赤い円のエリアに入り、遠藤のいる場所に香川(10)が絞るべき。もしくは香川が先に中に絞り、遠藤を動かす。コンパクトさに欠ける、と松田監督。

「ここです。僕はこの辺りが気になる。僕は遠藤にオスカール(10)やカカがいる位置にいてほしいんです。そして香川はいま遠藤がいる位置にいてほしい」

 ゾーンディフェンスの的確なポジションは、この場面で言えば、ボールを保持しているダヴィド・ルイスを中心に決まる。まずボールホルダーに対して長谷部や清武(8)の守備位置が決まり、その味方の位置に連動しながら遠藤や香川の守備位置が決まるというものだ。

「長谷部は少し前に行き過ぎかもしれないけど、まず自分の背後のスペースにボールが出ないようにパスコースの門を閉じていますよね。でも、ネイマールの辺りにパスが出ることはあり得る。だから遠藤が長谷部の背中が見える位置に絞るようにすれば、そのパスコースと同時にバイタルエリアも消せる。たとえばパスがカカに出たとしても遠藤が逆サイドへ展開されるのを防ぐことができますよね。遠藤や香川が今話した的確なポジションをとっていたら、失点シーンはどうなると思いますか?」

 想像しながら映像を進めた。ダヴィド・ルイスの縦パスを内田がクリアミス。ボールはインサイドにいるオスカール(10)に渡る。するとすぐに遠藤がオスカールに正対できるのだ。

「そして実際にゴールを奪ったのが、オスカールの後方でパスを受けたパウリーニョ(5)です。ここには香川が余裕を持って対応できますよね」

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