“J2”という宿命
一方、守備陣にとってはどうか――。
ゴール前の決定力やアタッカーの個のポテンシャルはJ1と比べて格段に劣るのがJ2というカテゴリーであるのは否めない。
「今ちゃん(今野)はどうしても、前にガッと食いつきすぎることがあるので……」(長谷川健太監督)。
昨季も天皇杯でボランチ起用されていた今野が、今季センターバックとして起用されたのは開幕直後の2試合と岩下が負傷で不在の岐阜戦以降の5試合。計7試合で完封に成功したのは最下位の岐阜相手のみだ。
J2のアタッカー陣から一転して、ワールドカップの最終予選やコンフェデレーションズカップで屈強な選手達と対峙するギャップについて今野は、悟りの境地にいた。
「気にしていない。結局は結果論になる。もし僕が抑えられなかったらJ2でプレーしているからと言われるだろうし」
その言葉通り、オーストラリア戦ではケーヒルとのマッチアップでも遅れをとる事なく、目立った破綻は見せなかった。
そんな背番号15にとって、世界との距離感を図る絶好の機会がコンフェデレーションズカップ。昨年10月にフランスを撃破する好プレーを見せた経験も今野にとっては「フランス戦は真剣勝負じゃない。今度は、国際大会だし、相手のホームで戦うし、どこも負けられないという思いでやってくる」
日本が対峙するのはブラジル、イタリア、メキシコという文字通り世界のトップチーム。ただ、日々身を置くJ2ではワールドクラスを体感することのない背番号15は、気後れどころか、強烈なアタッカーたちとの邂逅を待ちわびる。
「スーパースターが集まる大会で、スター選手がいるチームと対戦する。ブラジルとやるなんて、サッカー選手としてそうあることじゃない。チームとして、そして僕個人としてどうプレー出来るかだと思う」(今野)。
そして、今季の自身に付きまとう「宿命」について自重気味に、こう言い切った。
「何かちょっとミスをしても(J2だと)言われるでしょ」
90分間、息をつく間もない異次元のマッチアップで見せるのは限界か、それとも更なる可能性か――。
【了】