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中田英寿 その理想、高きがゆえに

text by 大泉実成 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

おじさんチームの救世主!

 こんなおじさんチームの中で、守備から攻撃まで走り回って獅子奮迅の活躍だったのが、10番澤登正朗。もう40歳になるはずだが、技術、スタミナともまったく衰えを感じさせない。小さな澤登がこの日ばかりは巨人に見えた。この澤登の活躍もあって、おじさんチームは三本目をなんとか0―2で耐え、トータルで4-3と辛くも逃げ切ったのだった。

 このような練習マッチだったが、個人的にはハラハラドキドキ、十分楽しめた。普通のサッカーの試合とはまったく違う楽しみ方だが(ああ、相馬さん)、興行というのは何はともあれお客さんを楽しませればいいのだから、TAKE ACTION F.C.の実力はこれで十分と言っていいだろう。このチームで日本を回るなら、客が入るのは間違いない。とすれば、後は中田の覚悟しだいである。

 試合後、中田の記者会見があった。

 中田の記者会見を生で見るのは初めてだが、現役のころよりカドがとれてやさしい感じだ。逆に言えば、スポーツ選手としては小柄なこの男に、現役時にいかに過剰なプレッシャーがかかっていたかということがよくわかる。

 あくまで勝利にこだわる、と言い切ったのが中田らしかった。そしてこう言った。
「長く継続するためには、強くて見る価値のあるチームでないとだめなんです。みんな現役をやめて時間がありますから、十分やっていけると思います」

 中田の口から「長く継続する」という言葉が出た。つまりは、この男は本気なのだ。
「12日は、今回こういった活動は初めての試みですので、どうなるのか。怖さ半分、楽しみ半分、というところですね」

 けっこう。実にけっこう。それではこちらも、その行く末を見定めさせてもらおう。

【了】

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