攻撃・守備、両面で高い貢献
前半7分のセットプレーのシーンではピッタリと身体をくっつけることでジャンプさせず、良い体勢でシュートを打たせなかった。前半35分にはカウンターになりそうな状況だったが、ユニスがボールに触る直前に今野が横から身体をぶつけてバランスを崩させて触らせることなくマイボールに。さらに後半9分には低い位置からのロングボールに対して、ボールの落下地点に入っていたユニスの肩に乗ってジャンプして跳ね返した。
W杯出場決定を決めて、コンフェデのブラジル戦を3日後に控える日本にとってはモチベーションを保ちづらい状況だった。イラク相手に受けに回ってしまってもおかしくなかったが、今野のプレーがスイッチとなって高い位置でのボール奪取&カウンターにつなげることができていた。
守備面だけでなく、この試合の今野は攻撃面でも積極的だった。前半14分のコーナーキックのこぼれ球を拾ってヒールパスで後ろに落として遠藤保仁にシュートを打たせた場面、前半37分の細貝萌のパスをペナルティーエリア内で受けて素早くシュートを打った場面は象徴的だろう。
ザックジャパンではターゲットマンになる吉田麻也の影に隠れて、今野がセットプレーで得点に絡むことは少なかった。だが、ボールのこぼれる位置を素早く予測するセンスをセットプレーにも活用できれば、日本にとって新たな武器になるだろう。
もちろん、課題もある。ディフェンスラインからボールを持ち出して1歩目となるパスを相手に渡してしまい、何度かカウンターを招いたのはイラク相手だったから抑えられたものの、強豪国相手には命取りになりかねない。とはいえ、改善点が見つかったのも今野が積極的にチャレンジをしていたからこそ。横パスを出してばかりでは課題も見えてこない。
W杯で勝つためには「個のレベルアップが必要不可欠」と本田は言う。この日、今野が見せたパフォーマンスは全ての代表選手のお手本になるものではなかったか。
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