最後までリズムつかめず。まずい試合運び
風下でスタートした日本は、風の影響でディフェンスラインの裏へ落ちるボールをイラクに拾われてピンチを招いていた。目測が難しいのは間違いないが、カバーリングをもう少し深くする必要があった。
崖っぷちのイラクは必死に走り、プレスをかけ、日本を自由にさせない。酒井宏樹のクロスや香川を経由した攻撃からいくつかのチャンスを作ったが、きれいに崩しきったのは清武弘嗣と香川の元セレッソ大阪のコンビによる1回ぐらい。
ポゼッションして押し込み、前線から厳しくプレスをかけて奪い、また攻め込むという日本のリズムに持っていけない。
ザッケローニ監督はパスを下げるのを嫌っているようで、たびたび試合中に注意している。確かに局面でみれば縦へ展開するほうが正解なのかもしれない。しかし、速い攻撃は早くボールを失うことになり、それを繰り返すと前線からのプレスの強度は必ず落ちる。選手の距離も広がって間延びしてしまう。
後半もリズムをつかめないまま間延びして中盤のスペースが広がっていた。この試合の立場で言えば、イラクにとって打ち合いは望むところだ。逆に、日本はペースを落としてボールを確保し、主導権を握るべきだった。
イラクの運動量がそれをさせなかった面もあるが、自陣でボールを奪った直後のミスが多すぎたのだ。無理にカウンターする必要はなかったはずなのに。
得点以外では数少ないチャンスだった59分の攻撃は、いったんバックパスを入れてから攻め直している。清武が上手く潰れて長友へつなぎ、長友のクロスをファーサイドで香川を受けて遠藤へ戻した。
遠藤のシュートは高く上がりすぎて枠をとらえられなかったが、こういう攻撃を続けていけば良かったのではないだろうか。試合運びのまずさが苦戦の要因になったと思う。
結局、勝つには勝ったが内容には乏しく、疲労を蓄積しただけの試合になってしまった。もし、これでコンディションを低下させてブラジルと対戦するのなら何とももったいない。もちろんスタッフはそうならない自信があるのだろう。
だが、もしブラジル戦に万全を期すよりも、勝利の味を思い出すことを優先したのであれば、W杯への強化プランとして疑問を持たざるをえない。日本が勝ちぐせをつけたいのはイラクではなく、コンフェデで対戦する国々であるはずだ。
【了】
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